宇都宮地方裁判所 昭和62年(わ)414号 判決 1988年4月27日
(被告人の表示)
(一)
本店の所在地 栃木県那須郡馬頭町大字馬頭四三七番地
法人の名称
有限会社 岩河商事
代表者の住居
栃木県那須郡馬頭町大字馬頭四三七番地
代表者の氏名
岩河良彦
(二)
本籍 栃木県那須郡馬頭町大字馬頭四三七番地
住居
右同所
会社役員
岩河政夫
大正九年二月一一日生
(三)
本店の所在地 栃木県那須郡烏山町中央一丁目七番一三号
法人の名称
有限会社 那須娯楽
代表者の住居
栃木県大田原市元町一丁目七番四四号
代表者の氏名
岩河健一
(四)
本店の所在地 栃木県芳賀郡茂木町大字茂木一四〇〇番地
法人の名称
有限会社 芳賀娯楽
代表者の住居
栃木県那須郡烏山町中央一丁目一四番二三号
代表者の氏名
檜山初枝
(五)
本籍 栃木県那須郡烏山町中央一丁目三一五番地の二
住居
栃木県那須郡烏山町中央一丁目一四番二三号
会社役員
檜山初枝
大正一一年三月三一日生
(六)
本籍 栃木県那須郡烏山町中央一丁目三一五番地
住居
栃木県那須郡烏山町中央一丁目一四番二三号
会社役員
檜山英明
昭和二六年一二月一九日生
右有限会社岩河商事、有限会社那須娯楽、有限会社芳賀娯楽、檜山初枝及び檜山英明に対する各法人税法違反、岩河政夫に対する法人税法違反、所得税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官長井博美出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社岩河商事を罰金一五〇〇万円に、被告人岩河政夫を懲役一年六月及び罰金一〇〇〇万円に、被告人有限会社那須娯楽を罰金八〇〇万円に、被告人有限会社芳賀娯楽を罰金六〇〇万円に、被告人檜山初枝を懲役八月に、被告人檜山英明を懲役八月に処する。
被告人岩河政夫において、その罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から、被告人岩河政夫に対し四年間その懲役刑の、被告人檜山初枝及び被告人檜山英明に対し各三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
第一 被告人有限会社岩河商事は、栃木県那須郡馬頭町大字馬頭四三七番地に本店を置き、パチンコ業等を営業目的とする資本金二〇〇〇万円の法人であり、被告人岩河政夫は、右被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括していた(昭和六二年一二月一〇日代表取締役を辞任)ものであるが、被告人岩河政夫は同被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
一 昭和五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における右被告人会社の所得金額は九二一五万五八一三円で、これに対する法人税額は三六四二万七八〇〇円であるのに、パチンコ売上金額の一部を除外する等の方法により所得を秘匿した上、同五八年一一月三〇日、栃木県塩谷郡氏家町大字氏家二四三一番地の一氏家税務署長において、同税務署長に対し、所得金額は三七六〇万一八八六円で、これに対する法人税額は一三五七万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告人会社の前記事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二二八五万二二〇〇円を免れ、
二 昭和五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における右被告人会社の所得金額は八三六六万〇六五八円で、これに対する法人税額は三五二〇万四一〇〇円であるのに、前同様の方法により所得を秘匿した上、同五九年一一月三〇日、前記氏家税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二九三八万六六〇九円で、これに対する法人税額は一一七〇万三四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告人会社の前記事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二三五〇万〇七〇〇円を免れ、
三 昭和五九年一〇月一日から同六〇年九月三〇日までの事業年度における右被告人会社の所得金額は九二二五万八二二一円で、これに対する法人税額は三八九三万一四〇〇円であるのに、前同様の方法により所得を秘匿した上、同六〇年一一月三〇日、前記氏家税務署において、同税務署長に対し、所得金額は四六八八万六〇九七円で、これに対する法人税額は一九二八万五三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告人会社の前記事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額一九六四万六一〇〇円を免れ、
第二 被告人有限会社那須娯楽は、栃木県那須郡烏山町中央一丁目七番一三号に本店を置き、娯楽遊技場の経営等を営業目的とする資本金一〇〇〇万円の法人であり、被告人岩河政夫は、右被告人会社の取締役であり、実質的経営者としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人岩河政夫は同被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
一 昭和五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における右被告人会社の所得金額は三一八〇万五二八三円で、これに対する法人税額は一一八〇万〇七〇〇円であるのに、パチンコ売上金額の一部を除外する等の方法により所得を秘匿した上、同五八年一一月三〇日、前記氏家税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一一二九万五四五二円で、これに対する法人税額は三二九万六一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告人会社の前記事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額八五〇万四六〇〇円を免れ、
二 昭和五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における右被告人会社の所得金額は四四七七万〇二〇六円で、これに対する法人税額は一八〇二万九九〇〇円であるのに、前同様の方法により所得を秘匿した上、同五九年一一月三〇日、前記氏家税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二一八九万七〇三〇円で、これに対する法人税額は八一五万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告人会社の前記事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額九八七万四三〇〇円を免れ、
三 昭和五九年一〇月一日から同六〇年九月三〇日までの事業年度における右被告人会社の所得金額は七〇九七万三二〇九円で、これに対する法人税額は二九一七万四三〇〇円であるのに、前同様の方法により所得を秘匿した上、同六〇年一一月二九日、前記氏家税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二四六五万一九九四円で、これに対する法人税額は九一六万七七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告人会社の前記事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二〇〇〇万六六〇〇円を免れ、
第三 被告人岩河政夫は、昭和五八年一二月から栃木県那須郡馬頭町大字北向田二九六番地四において、北向田グランドモナコの名称でパチンコ店を経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
一 昭和五九年分の所得金額は六一四五万七九九八円で、これに対する所得税額は一八五〇万六〇〇〇円であるのに、パチンコ売上金額の一部を除外する等の方法により所得を秘匿した上、同六〇年三月一五日、前記氏家税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二四〇九万四五五三円で、これに対する所得税額は四四五万一四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により前記年分における正規の所得税額と右申告税額との差額一四〇五万四六〇〇円を免れ、
二 昭和六〇年分の所得金額は九七五九万六〇四八円で、これに対する所得税額は三一四三万一一〇〇円であるのに、前同様の方法により所得を秘匿した上、同六一年三月一五日、前記氏家税務署において、同税務署長に対し、所得金額は三一八三万六五八二円で、これに対する所得税額は三七二万七一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により前記年分における正規の所得税額と右申告税額との差額二七七〇万四〇〇〇円を免れ、
第四 被告人有限会社芳賀娯楽は、栃木県芳賀郡茂木町大字茂木一四〇〇番地に本店を置き、パチンコ店の経営等を営業目的とする資本金一〇〇〇万円の法人であり、被告人檜山初枝は、右被告人会社の代表取締役、被告人檜山英明、被告人岩河政夫(昭和六二年七月一日辞任)は、右被告人会社の取締役であるが、被告人らは共謀の上、同被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
一 昭和五八年六月一日から同五九年五月三一日までの事業年度における右被告人会社の所得金額は一九五六万六一三八円で、これに対する法人税額は七四一万六二〇〇円であるのに、パチンコ売上金額の一部を除外する方法により所得を秘匿した上、同五九年七月三一日、栃木県真岡市荒町五一七八番地真岡税務署において、同税務署長に対し、所得金額は零(欠損金額三六九万七三〇九円)で、これに対する法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告人会社の前記事業年度における正規の法人税額七四一万六二〇〇を免れ、
二 昭和五九年六月一日から同六〇年五月三一日までの事業年度における右被告人会社の所得金額は四三六八万〇八二六円で、これに対する法人税額は一七九二万九四〇〇円であるのに、前同様の方法により所得を秘匿した上、同六〇年七月二四日、前記真岡税務署において、同税務署長に対し、所得金額は零で、これに対する法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右被告人会社の前記事業年度における法人税額一七九二万九四〇〇を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人岩河政夫の当公判廷における供述
一 被告人岩河政夫の検察官に対する供述調書二通(昭和六二年八月一八日付け及び同年一一月一二日付け検三号のもの)及び大蔵事務官に対する質問てん末書一二通(昭和六一年三月二六日付け、同年四月三日付け、同年五月二〇日付け検一号のもの、同年九月一八日付け、同年一一月四日付け、同年一二月八日付け二通、同月一二日付け検一号のもの、同月一五日付け、同月一九日付け検一及び二号のもの並びに同六二年一月一九日付け)
一 磯野元寿及び石井成美の大蔵事務官に対する各質問てん末書
判示第一ないし第三の各事実につき
一 被告人岩河政夫の大蔵事務官に対する質問てん末書三通(昭和六一年九月五日付け、同年一二月九日付け、同月二〇日付け)
一 岩河笑子の検察官に対する供述調書
一 岩河笑子(二通、昭和六一年一〇月一三日付け及び同年一二月二四日付け)及び荒井二郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書
判示第一、第三及び第四の各事実につき
一 被告人岩河政夫の大蔵事務官に対する質問てん末書(昭和六一年一二月一〇日付け)
判示第一及び第二の各事実につき
一 岩河健一の検察官に対する供述調書
一 岩河笑子(昭和六一年三月二六日付け)及び岩河健一(同日付け)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
判示第一及び第三の各事実につき
一 蜂巣栄の大蔵事務官に対する質問てん末書二通
判示第一の各事実につき
一 被告人岩河政夫の検察官に対する供述調書(昭和六二年一一月一二日付け検一号のもの)及び大蔵事務官に対する質問てん末書(同六一年九月一九日付け)
一 阿久津武男(二通)、鈴木久司(二通)、金澤豊治、冨永五郎、阿部正己及び鈴木好次の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 被告人岩河政夫作成の答申書一六通(昭和六一年一〇月二八日付け検一号のもの、同年一二月八日付け検一号のもの、同月二六日付け、同六二年一月八日付け四通、同月九日付け四通、同月一〇日付け、同月一二日付け検一ないし四号のもの)
一 大蔵事務官大瀬順三作成の調査書一八通
一 氏家税務署長作成の証明書四通(昭和六一年八月六日付け検一号のもの、同六二年二月二〇日付け検一ないし三号のもの)
一 登記官作成の登記簿謄本二通(昭和六二年八月二九日付け検一号のもの及び同六三年一月一九日付け検一号のもの)
判示第一の一の事実につき
一 大蔵事務官大瀬順三作成の脱税額計算書、修正損益計算書、修正貸借対照表及び査察更正決議書(いずれも検一号のもの)
判示第一の二の事実につき
一 大蔵事務官大瀬順三作成の脱税額計算書、修正損益計算書、修正貸借対照表及び査察更正決議書(いずれも検二号のもの)
判示第一の三の事実につき
一 大蔵事務官大瀬順三作成の脱税額計算書、修正損益計算書、修正貸借対照表及び査察更正決議書(いずれも検三号のもの)
判示第二及び第四の各事実につき
一 森島常夫の大蔵事務官に対する質問てん末書
判示第二の各事実につき
一 被告人岩河政夫の検察官に対する供述調書(昭和六二年一一月九日付け検一号のもの)及び大蔵事務官に対する質問てん末書六通(同六一年八月五日付け検一号のもの、同年一二月一一日付け、同月一二日付け検二号のもの、同月一三日付け、同月一八日付け及び同月一九日付け検三号のもの)
一 岩河笑子(昭和六二年一月一九日付け)、岩河健一(二通、同六一年一二月一五日付け及び同月一八日付け)、露久保了及び和知勝利(同年三月二六日付け)の大蔵事務官に対する各質問てん末書)
一 岩河笑子作成の答申書
一 岩河笑子外一名作成の答申書一三通
一 大蔵事務官下山保司作成の調査書一五通
一 氏家税務署長作成の証明書四通(昭和六一年八月六日付け検二号のもの、同六二年二月二〇日付け検四ないし六号のもの)
一 登記官作成の登記簿謄本二通(昭和六二年八月二九日付け検二号のもの及び同六三年一月一九日付け検二号のもの)
判示第二の一の事実につき
一 大蔵事務官下山保司作成の脱税額計算書、修正損益計算書、修正貸借対照表及び査察更正決議書(いずれも検一号のもの)
判示第二の二の事実につき
一 大蔵事務官下山保司作成の脱税額計算書、修正損益計算書、修正貸借対照表及び査察更正決議書(いずれも検二号のもの)
判示第二の三の事実につき
一 大蔵事務官下山保司作成の脱税額計算書、修正損益計算書、修正貸借対照表及び査察更正決議書(いずれも検三号のもの)
判示第三の事実につき
一 被告人岩河政夫の検察官に対する供述調書二通(昭和六二年八月二五日付け及び同年一一月九日付け検二号のもの)及び大蔵事務官に対する質問てん末書六通(同六一年五月二〇日付け検二号のもの、同年八月五日付け検二号のもの、同年九月一二日付け、同年一二月一二日付け検三及び四号のもの並びに同六二年二月一九日付け検四号のもの)
一 岩河良彦の検察官に対する供述調書
一 岩河良彦(二通)、和知勝利(昭和六一年一〇月二三日付け)、稲沢一郎、磯野良一、小澤章二及び金沢守(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 被告人岩河政夫作成の答申書一七通(昭和六一年一〇月二八日付け検二号のもの、同年一二月八日付け検二号のもの、同月二〇日付け検一ないし一四号のもの及び同月一二日付け検五号のもの)
一 大蔵事務官塚原彰作成の調査書五九通
一 氏家税務署長作成の証明書三通(昭和六一年八月六日付け検三号のもの、同六二年二月二〇日付け検七のもの及び同日付けで署長名の記載のないもの)
判示第三の一の事実につき
一 大蔵事務官塚原彰作成の脱税額計算書、修正貸借対照表及び修正損益計算書(いずれも検一号のもの)
一 大蔵事務官大瀬順三作成の査察更正決議書(検四号のもの)
判示第三の二の事実につき
一 大蔵事務官塚原彰作成の脱税額計算書、修正貸借対照表及び修正損益計算書(いずれも検二号のもの)
一 大蔵事務官大瀬順三作成の査察更正決議書(検五号のもの)
判示第四の事実につき
一 被告人檜山初枝及び檜山英明の当公判廷における各供述
一 被告人岩河政夫(二通、昭和六二年一一月四日付け及び同月一二日付け検二号のもの)、同檜山初枝(二通)及び同檜山英明(二通)の検察官に対する各供述調書
一 被告人岩河政夫(昭和六一年一一月一八日付け)、同檜山初枝(二通)及び檜山英明(八通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 河又毅の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 被告人檜山初枝ら作成の答申書七通
一 大蔵事務官桜井利昭作成の調査書一五通
一 真岡税務署長の証明書四通
一 登記官作成の昭和六二年八月三一日付け登記簿謄本
判示第四の一の事実につき
一 大蔵事務官桜井利昭作成の脱税額計算書、修正損益計算書、修正貸借対照表及び査察更正決議書(いずれも検一号のもの)
判示第四の二の事実につき
一 大蔵事務官桜井利昭作成の脱税額計算書、修正損益計算書、修正貸借対照表及び査察更正決議書(いずれも検二号のもの)
(法令の適用)
被告人有限会社岩河商事について、判示第一の一ないし三の各事実はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で同被告人会社を罰金一五〇〇万円に処することとする。
被告人岩河政夫の判示第一の一ないし三、判示第二の一ないし三の各所為はいずれも法人税法一五九条一項に、判示第三の一及び二の各所為はいずれも所得税法二三八条一項に、判示第四の一及び二の各所為はいずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項に該当するところ、所得税法違反罪については犯情によりいずれも懲役と罰金を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示第三の一及び二の各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で同被告人を懲役一年六月及び罰金一〇〇〇万円に処することとし、同被告人において、右罰金を完納することができないときは、刑法一八条により金二万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとし、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から四年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
被告人有限会社那須娯楽について、判示第二の一ないし三の各事実はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で同被告人会社を罰金八〇〇万円に処することとする。
被告人有限会社芳賀娯楽について、判示第四の一及び二の各事実はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で同被告人会社を罰金六〇〇万円に処することとする。
被告人檜山初枝及び同檜山英明の判示第四の一及び二の各所為はいずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条によりいずれも犯情の重い判示第四の二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で右被告人両名をいずれも懲役八月に処し、右被告人両名に対し、それぞれその情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から各三年間その刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 菅英昇)